有限会社産機サービス 宮崎市

 日々、新たな製品を生み出す「ものづくり産業」。その活躍の背後には安定的な供給体制をサポートする技術者たちの存在がある。「私たちの仕事は工場の心臓部を扱っています。ここを止めてはならない。設備に不具合が生じたら迅速に対応します」。製造現場の安定を支える技術者集団。それを率いる企業の代表の想いとは。

工場内設備の販売から
メンテナンスまで一貫対応。
現場ニーズに対応できる経験と技術

 川のせせらぎが聞こえる緑豊かな敷地にある木造の社屋。事務所や工場内で働く人々からは和気あいあいとした雰囲気が漂う。有限会社産機サービスは製造工場や病院などの内部設備の販売から設計・施工、メンテナンスまで一貫して行っている会社だ。大手から地元企業まで幅広い顧客を抱え、その業種も多岐に渡る。❶半導体、食品、製材など分野の異なる顧客に対応し、空圧機や空調機、配管に電気工事など内部設備に熟知。それゆえ順調に売上を伸ばし、従業員数も年々増加している。
 代表取締役の河野弘行が1991年3月に同社を創業。当初はコンプレッサーをはじめとしたメーカー品の販売・設置を中心に行っていたが、業績が取引メーカーに左右されるリスクを避けるため徐々に業務の幅を広げた。顧客ファーストを貫き、どんな仕事も断らず、あらゆる技能を習得。❷仕事を通じて得た知識や技術を取り込み、自社サービスとして提供できることは、現在では同社の大きな強みとなっている。

未来を見据えた就労環境の整備。
後世に続く取り組みが活路を開く

 手堅い経営を続けてきたかに見える同社だが、その裏では課題も多かった。20年前までは人手不足もあり夜遅くまで作業に徹することもあったという。事業規模が大きくなるにつれ業務管理にも支障が出た。「大変な状態が数年続いて環境改善は急務でした。会社の経営を社長『個人』から『組織』として動かすために部門を整理し、管理体制を構築しました。人材定着のため働きやすい職場づくりも会社全体で進めています」。「まだ手探り中」と河野は話すが社内改革により週休2日を実現し、❸直近3〜4年は若手の入社が増えている。「業界的に高齢化や後継者不足を抱えるなかで『若さ』は武器になります。彼らは最新機器もすぐに扱い方を覚える。そんな彼らに先輩職人の技術を伝承していくことは、ものづくり文化を守ることにもつながります」。一人前になるには最低5年はかかるとされるなか、❹教育に力を注ぎ、若手を戦力化させている。従来の職人は鋭い「勘」を頼りに異常を感知し、処置を行っていた。現在は最新計測機器を導入し、数値データから客観的に判断している。先端技術を応用し、個人の感覚のみに頼らない技能の習得が進んでいる。

失われゆく技術を守るため
100年続く会社を目指す。
その鍵は若手人材の活躍

 創業から34年、培われたノウハウを武器に「2030年売上10億円」を経営ビジョンとして掲げている。新市場の開拓や既存事業の拡大、事業承継を含めた同業他社の友好的M&Aなども視野に、九州各県に拠点を設ける準備を進めている。「私たちの業界の技術は、日本のものづくりを支えるものであり、消えては困るものです。後世へ伝え、守るためにも100年続く会社を目指す必要があります」。その鍵となるのがまさに若手人材だ。時代が進み、AIや機械化がどれだけ発展しようと人の手を必要とする仕事は残っていく。それを❺受け継ぐ技術者集団を養成することは河野の使命でもある。「若い人たちが生き生きしている姿、成長する姿を見ると希望を感じます。かつて20代で入社した社員が今では部長として若手を指導している。若い世代へ仕事を引き継いでいけば100年は続くという実感が湧いています」。働く一人ひとりが「今日も仕事へ行くぞ!」と喜んで出勤する光景は河野が描く未来予想図だ。技術を継承する箱船として産機サービスの航海に終わりはない。

社会情勢にも強い経営

顧客を特定の業種に固定せず、工場新設時の機械導入から既存設備のメンテナンスまで対応できたことにより、リーマン・ショックやコロナ禍の影響を最小限に抑えた。

▲コンプレッサーの整備

▲配管の新設工事

▲空調機洗浄作業

ニーズに対応した
提案型営業

従業員の約7割を技術スタッフとして抱え、各業種・現場に最適な設備設計を提案でき、さらに省エネ診断、補助金・助成金サポートも可能。技術・制度の双方から支援ができる。

バランスの取れた
人員構成

40代を中心に20代から60代まで幅広い人員が揃う。これまでは中途採用が基本だったが、未来を見据え高卒・大卒の新卒採用を予定している。

社員教育への
積極的な投資

外部の技術研修には会社が費用負担をするほか、若手向けに座学・実技の勉強会を行い、社内のみ閲覧可能なYouTube動画を制作することで反復した学習を可能としている。

最新技術と伝統技術の
共存を図る

常に最新の計測機器を導入して時代を先取りするとともに、職人の減少により失われる危機のある熟練工の技術を若手人材へ継承。

空圧機器、水処理機械、
排水処理機械設備等の販売・
設計・施工・メンテナンス

有限会社産機サ ービス

所在地/宮崎市清武町今泉乙365番地2
設立/1991年3月
直近売上高/4.35億円(2023年9月期)
従業員/26名(2024年1月時点 )

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