全ての起点は人手不足から。
「働きづらさ」を抱える人が
活躍する場をつくる
宮崎県日向市に本社を構える株式会社グローバル・クリーン。清掃・ビル管理サービスを提供し、清掃のプロ集団として品質や技術はもちろんのこと、過去99.9%現場の欠員を出さないなど堅実な仕事ぶりで高い顧客満足を獲得している。「みんな成長が速く優秀です」と代表取締役社長の税田和久は語る。2000年に父の事業を引き継ぐかたちで創業後、2008年に法人化を果たす。当時はリーマン・ショックの影響により求職者が溢れており、規模拡大に向け求人を出したが、半年間一件も電話が鳴らなかったという。「清掃業はそのイメージから求人に費用をかけても希望者が現れない。人手不足をどう解消するか知恵を絞った結果『働きやすい職場』をつくり、アピールしていくことにしました」。すると子育て期の女性をはじめ❶一般の就労形態のなかでは「働きづらさ」を抱える人々がやってきた。一人ひとりの事情に合わせ制度や就労環境を整備し、子どもの病気対応など当日仕事を休む場合でもLINE連絡を可とし、欠員が出ても業務が回る仕組みをつくり、社内ルールブックや就業規則にないことも気軽に相談できるようにした。
潜在力の高い
「クリーンコンサル」で
世界を目指す
同社を特徴づける事業に❷「クリーンコンサル」がある。自社で蓄えた清掃スキル・ノウハウを活用し、他社の清掃業務の最適化、目的に応じた内製化を支援するビジネスである。食品工場のHACCP認証に向けた清掃指導、福祉サービス事業所における障がい者雇用の創出・工賃向上など実績を重ねてきた。クリーンコンサルはノウハウ提供のため、地域密着型である清掃とは異なり場所に囚われることなくビジネス展開が可能。そのため取引は全国に及び、その中には社員3,000人以上の上場企業も名を連ねる。「実はおもしろいことが起きていまして。清掃のコンサルで伺ったのに弊社の人材不足解消や職場づくりに関心を持っていただいたことから❸組織開発の依頼を受けるケースが出てきました」。クリーンコンサルの持つ潜在力は高く、今後は国内の都市圏のほか、東南アジアなど世界市場での展開を目指している。
従業員の人生設計を
最優先に考える働き方
「清掃業は無形のお仕事ですから働く社員の満足度はサービスの質に直結します」と税田が語るように、グローバル・クリーンは法人化当初から❹パート・アルバイトも含めた全従業員に有給休暇の取得を促している。男性の育休取得率も100%の実績だ。また、競合の多い清掃業において価格競争はせず、質の高いサービスを提供することで適正価格を維持し従業員の待遇へ還元している。「仕事が先行する『ワーク・ライフ・バランス』ではなく人生を先に考える『ライフ・ワーク・バランス』こそが自分らしく働ける環境をつくるのだと思います」。2016年には事業運営が評価され、❺経済産業省「新・ダイバーシティ経営企業100選」に宮崎から初選出。県内外から大きな注目を浴びるきっかけとなった。2020年より大学生の新卒採用を始め、これまで7人が入社。正社員の平均年齢が10歳若返った。“クリーンでイノベーションを起こす”。そのビジョンを胸にグローバル・クリーンの描く未来は明るく輝いている。
「働きづらさ」を抱える
人材を戦力化
子育て期の女性、高齢者、障がい者、社会参加の難しい人々などを積極雇用。個々の事情に合わせた人材育成を行い、コミュニケーションの壁を超え、戦力化とチーム編成を行った。
きっかけは
リーマン・ショック
清掃委託業務のキャンセルが相次ぐなか、顧客に対する道具の販売、清掃指導から始まった。「クリーンコンサル業務」として、2012年に宮崎県の経営革新計画承認企業として認定。2016年には商標登録された。
官民問わず
セミナー依頼が舞い込む
経営・組織運営のノウハウは注目され、全国で企業研修や行政主催セミナーでの講師を務めている。
インクルージョン経営
休業からの復職しやすい職場づくり、家庭や学校行事に配慮した勤務体制やノー残業デー、介護・看護休暇の制限日数を超えて取得可能にするなど、個々の家庭環境をサポートし、働きやすさに導く。
外部表彰・受賞歴多数
宮崎県認証「ひなたの極」をはじめ、日本健康会議2021「健康経営優良法人」認定、厚生労働省発行「2021中小企業の働き方改革成功読本」に掲載など、職場環境づくりは国や県から高い評価を獲得している。